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視力訓練の原理について

新しい訓練理論に基づき眼科医が開発した視力訓練器

せめて学生時代は裸眼ですごしたい

 毎年春先になると、学校検診で視力低下の認められた子供たちが、眼科医のもとを訪れます。しかし、現代の医学界には、「近視は治らない」という常識があります。そのため、近視になった子供の大半が、判明してから数年のうちに、メガネをかけざるをえなくなるのが現状です。
 実は、手立てはあります。日本では学校検診によって、子供の近視は早期に発見されます。昭和時代まで50年以上にわたり、国をあげて近視の研究が行われました。その当時、早期の近視は目のトレーニングによって、裸眼で日常生活に支障がないくらいに維持できる可能性のあることが、確認されているのです。
 つまり、近視になった子供には、早い段階で積極的に目の訓練に取り組ませ、学業を終えるまでの間だけでも、メガネなしで困らない程度の視力を維持させていく ―― そういう姿勢が、眼科医にも親にも必要なのではないかと、私は考えているのです。

 ここで、近視が起こるメカニズムについて説明しておきましょう。

 私たち人間は、外界から入った光線を眼球内で屈折させ、カメラのフィルムに相当する網膜にピントを合わせて、像を結ばせています。そのさい、眼球内の屈折異常によって、網膜の手前でピントが合い、網膜にボヤけた像が結ばれてしまう状態を近視といいます。
 子供の場合、その原因は調節緊張によってふくらんだ水晶体の固定化にあると、一般にはいわれています。
 目のピント調節は、水晶体と水晶体を取り囲む毛様体筋との連動した働きによって行われています。近くを見るときには毛様体筋が収縮して水晶体が厚くなり、遠くを見るときには毛様体筋がゆるんで水晶体が薄くなり、遠近のピントを合わせているのです。
 ところが、長時間、近業(目の近くで行う作業)を続けていると、毛様体筋が緊張し、ピント合わせのためにふくらんだ水晶体の戻りが悪くなるといいます。これが調節緊張です。
 このように調節緊張が続いて、水晶体の厚みが固定化すると、光の屈折状態も変化し、近視が進むというのが従来の定説であり、水晶体の厚みが固定化するまでの状態を、昔は仮性近視、あるいは調節性偽近視と呼びました。
 しかし、実際には、同じように近業をしても偽近視になる人と、ならない人がいます。では、その差はどこからくるのでしょう。水晶体の性状の違いでしょうか? 毛様体筋の形態の違いによるのでしょうか ?
 実は、国をあげての近視研究の末期、私も大学院生として、この疑問の解明に取り組み、多数の子供に定期的に視力検査を行いながら、眼球の変化を観察していくことで、答えを見出すことができました。
 それは近視の発生メカニズムにおいて、常識をくつがえす発見でもありました。なぜなら私の研究データは、近視の直接的な原因は水晶体でも毛様体筋でもなく、眼軸(眼球の前後の長さ)の進展性にあることを示唆していたからです。
 つまり、近くを見るときに、遺伝的に眼軸の伸びやすい人と、伸びにくい人が存在し、眼軸の伸びやすい人が継続的な近業を続けると、眼軸が伸びた状態で固定化する。それと同時に、引っぱり続けたゴムがより弛緩するように、水晶体はふくらんだ状態ではなく、逆にしだいに薄くなって、眼軸が伸びることによる近視化を補正しようとします。けれども、それでは補正しきれないため、近視が起こっていたのです。
 したがって、このタイプの仮性近視も「眼軸が伸びた状態で固定化するまでの状態」という解釈になります。これを、従来の水晶体に原因のある偽近視に対し、眼軸性偽近視と呼ぶことができます。

視力トレーニングは継続しやすいことが大事

訓練が力を発揮するのも、この仮性近視、眼軸性偽近視に対してです。
 近視の進行途中にある人は、真性近視と仮性近視を合わせ持っています。調節性であれ眼軸性であれ、仮性近視の部分だけでも解消できるなら、そのぶん視力は維持できます。
 その結果、両目で 0.7程度の視力が保てれば、近視の子供は、裸眼でもさほどの不自由を感じることなく学校生活を送ることが可能になるわけです。
 ただし、近視は進行性の慢性疾患ですから、一時的に効果はあっても、それを長期に続けなければ視力を維持することはできません。これまでのトレーニング法も多くの人が途中で挫折し、けっきょく近視が悪化してゆく点で限界があり、訓練法として定着しなかったという事情があるのです。
 このように見ていくと、近視の訓練には「アクセスのよさ(取りかかりやすさ)」、「継続性」の2つの要素が必要であることがわかります。
 そこで、私が考案・開発したのが以下にご紹介する視力訓練器アイトレーナーです。
 この器械はご家庭でテレビ画面を見ることでトレーニングができるので、小さなお子様でも疲労回復を待たずに楽しく視力訓練を行うことができます。ご自宅で視力をトレーニングできるのですから、継続性とアクセスに関してこれ以上の好条件はありません。
 最近はコンピュータ作業などによって、成人後に近視が始まる人もふえています。目安として、子供も大人も、近視になって 1〜2年以内で訓練に取り組むことが重要です。


テレビ画面を見ながら四つの訓練が同時にできる新型視力訓練器

眼科医が考案した四つの訓練法
 近視は、近視になる素質を持った人が、近業(目の近くで行う作業)を長時間続けることで発生します。そこで、目を近業と逆の方向に働かせれば、視力も安定するはずだという発想で、訓練法は考案されました。
 訓練法の中でも、安全性が認められているのが、「望逮訓練法」、「水晶体体操法」、「凸レンズ装用法」、「開散法」の四つです。
 「望遠訓練法」は、遠くの景色を凝視し続ける方法です。 20年以上前、視力検査で使われるランドルト環を、紙に大きく描いて校庭の隅に立て、それを全員で屋上から見る方法で望遠訓練に取り組み、成果をあげている学校が報道されました。このように、遠くの目標物を意識してじっと見つめることで、水晶体の厚さをコントロールしている毛様体筋の緊張がゆるむのです。
 「水晶体体操法」は、遠くを凝視して目の筋肉を伸ばすだけの望遠法より、遠くと近くを交互に見て屈伸運動をさせたほうが、より効果的なのではないかと考案された方法です。
 私も以前は近視の子供に、部屋の隅にはったカレンダーの文字と、目の前に差し出した指の指紋を交互に見る体操を教えていました。これを夜寝る前に 1分間でも行えば、起きている聞に発生した毛様体筋の緊張をゆるませることができます。
 「凸レンズ装用用法」は、老眼鏡のような凸レンズをかけさせる方法です。こうしてわざと見えない状態にし、ギユッと力を入れて遠方を見れば、訓練になるということで考案されました。
 「開散法」は、器械で視線を左右に開く体操をする方法です。近くの物を見るときは、水晶体がふくらむと同時に寄り目になります。そこで、逆に視線を強制的、器械的に開散させれば水晶体が薄くなり、毛様体筋の緊張がほぐれると考えたわけです。
 しかし、この器械のある医療施設に通う必要があり、一般的な方法にはなりませんでした。
 一方、望遠訓練法、水晶体体操法は道具がなくても取り組むことができます。毎日の継続が大切です。しかし、子供にはたいくつな訓練のため、挫折しやすいのが欠点でした。

一回のトレーニングで違いのわかる人が多い
 こうした問題点をカバーしながら、以上四つの訓練法を同時に、自動的に、副作用なく安全に行えるよう作られたのが、今回ご紹介する視力訓練器アイトレーナーです。
 この器械には、形状の異なる8枚のレンズやプリズムが組み込まれ、それらの動きで複合的なトレーニングができる仕組みになっています。双眼鏡のように目に当て、器械をのぞきながら10〜20分間、ご家庭のテレビやビデオ画面を見ている間に無意識のうちに訓練ができるため、お子様でも飽きにくく、継続性の問題も解消されています。

 四つの訓練法を、20年前にプロトタイプ(試作モデル装置)で行った訓練実験は、次のようなものです。
 訓練実験は、7〜18歳の近視、近視性乱視の方 33名に行いました。訓練被験者は大学病院、総合病院の眼科に通って20分ほど試作装置による訓練を継続してもらい、2〜6週に一回視力測定をしたところ、以下の結果が得られました(平均訓練期間 63日、平均訓練回数 29回)。
 まず、訓練前平均 0.27だった裸眼視力は、治療後平均 0.45に変化しました。
 このうち、訓練前 0.4以下の群では平均 0.19から治療後は、平均 0.33へ、訓練前 0.5以上の群では、平均 0.66から訓練後は、平均 1.02へと変化し、やはり近視が軽度のうちに訓練を始めたほうがよいこともわかりました。
 屈折度にも変化がありました。訓練前平均が −1.34D、訓練後平均が −0.70Dと、 0.64Dも変化した点は、注目に値します。

 このような研究の結果、我々の見つけた眼軸性偽近視には、目を休ませるより、訓練器で適度に屈伸運動を行うほうがよいと判断されたわけです。
 今回、市販された視力訓練器アイトレーナーも、光学的な構造はプロトタイプ(試作モデル装置)とまったく同じ(光学的に等価)です。
 この器械を試した多くのお子様に、一回めの訓練で、視力の変化がみられました。(個人差がございますので、変化がみられない際は、至急メール等にてご連絡ください)。こうして、初めての訓練で少しでも視力が変化した人は、訓練を継続すると徐々に偽近視状態が変化し、視力の戻りも少なく、安定していくようです。
 お子さんが近視を指摘されたら、あるいは目を細めて見えにくそうにしていたら、早めに訓練にとりかかるとよいでしょう。


  

 
 

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